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植物の葉が赤くなるわけ

2018年月11日

植物の葉といえば、まず緑を思い浮かべると思います。

しかし植物によっては緑から、葉が赤くなる植物もいます。

日本の落葉樹はモミジなど落葉する前に美しく紅葉します。

多肉植物は寒くなると葉を赤くするものが多いです。

日によく当てるとブロメリアなどは赤く発色します。

 

赤くなるのにはやはり、理由があるからです。

 

植物の葉の細胞には葉緑体に含まれるクロロフィル、液胞に含まれるカロテノイドやアントシアニンが存在しています。

クロロフィルは緑色。この緑が多いことで葉が緑色に見えています。

カロテノイドは黄色、イチョウの鮮やかな黄色はこのカロテノイドから来ています。

アントシアニンは赤から紫色。ブルーベリーなどに含まれることでも有名な抗酸化物質、葉の細胞中で合成されます。

 

化学的には植物の光合成反応は

①光から生きるためのエネルギーを作る反応

②①のエネルギーの一部を使い、二酸化炭素を固定する(より多くのエネルギーを貯蔵するため糖にする)反応

この2つに分けられます。

 

前回の多肉植物と光合成の記事では、この2つ反応を本来同時に並行させるのが普通の植物ですが、多肉植物は夜と昼間で分けて行うことを書きました。

 

しかし、環境によってはこの反応のどちらかの量が多くなったり、少なくなる場合があります。

この際に①の反応量が何らかの原因で②より多くなると、太陽光エネルギーの一部が活性酸素を生成するような働きに変わります。

例えば、寒くなり光合成量が少ないのに光を浴びたり、成長期に強い光を浴びたり。

最初に挙げた例の通りですね。

 

活性酸素に聞き覚えはあるかと思います。

人間にとっても老化物質として働いているものですが、この活性酸素は植物にも悪影響を与え、光合成を阻害することがわかっています。

 

この悪影響を防ぐために植物はアントシアニンを合成し、サングラスのような働きをさせて①の反応量減らし、葉緑体を守ります。

 

赤くなるのが悪いことなのか、という点ですが赤くなる事自体は悪いことではありません。

むしろ、園芸的に赤くなることが鑑賞の価値や醍醐味の一つになっているものがほとんどです。

 

逆に日当たりが悪くなると植物は緑が濃くなったり、徒長したり、葉が不必要に大きくなったりなど園芸的価値を損なうことが多いですね。

 

モミジなどではまた違う仕組みで紅葉が起きます。

冬になると植物は葉を落とすための準備を始めます。

気温が低くなると葉のはたらきが弱まり、クロロフィルが分解されるためです。

面白いことにこの分解したクロロフィルは栄養として幹に行き、再利用されます。

 

その後、葉柄の付け根に離層という組織がつくられ、物質の行き来が妨げられます。

残された葉では、余った糖から赤い色素アントシアニンができ葉が赤くなります。

この状態が紅葉です。

葉はやがて、離層のところで切り離されて落葉します。

 

こうして様々な要因が植物の色を赤くします。

こういった反応を知っていると好みに育てていくのにも、植物の状態を見ながら育てていくのにも役に立ちます。

 

多肉植物を赤くしたいとき、赤い葉が緑になってしまったときにこのことを思い出してみて育ててくださいね。

 

伊藤 郁純

 

 

 

 

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