人間が大腸菌や乳酸菌など多くの菌と共生しているのはご周知の通りですが、植物たちも菌と共生しているのをご存知でしょうか?
今回はそんな植物と共生している菌について少しご紹介いたします。
植物の根や土には菌根菌や根粒菌という菌が存在しています。
こういった菌は基本的に植物の根の中、土の中で生きる菌です。
菌根菌は宿主の根から菌糸を土の中に伸ばし、土中のリンや窒素の化合物を植物が吸収しやすい形に分解し供給する役目を担っています。
根粒菌は根上で根粒と呼ばれるこぶを形成し、空気中の窒素を固定し吸収しやすい形にして供給する役割があります。
代わりに植物側は菌へ光合成から作ったエネルギー源を菌へ分け与えています。
この関係で有名なのはマツです。
富士山で有名な三保の松原。
マツが栄養などが少ない海岸付近においても大きな樹形を保っている理由の一つが菌根菌がいるためだといっても過言ではありません。
また、多くの植物の根元に生えるキノコはこの菌根菌のものであったりもします。
マツタケも実は菌根菌の一種です。
ラン類においてもラン菌根菌を根に共生させています。
熱帯地域のラン類などは特に樹上などに根を生やすものもいますが、太いバルブや肉厚の葉以外に、菌根菌の役割が大きいです。
根粒菌では主にマメ科の植物との共生が有名です。
マメ科の植物の根を見てみるとこぶがついているのを目視できると思います。
そして、最近では人間にも菌の恩恵があることが分かってきています。
1989年、NASAが観葉植物による空気浄化作用についての研究レポートを発表しました。
建材や塗料から発生するベンゼンやホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物は発がん性物質やシックビルディング症候群の一因と言われています。
NASAの研究ではなんと、この揮発性有機物を観葉植物が植わっている土壌中の菌が吸収・除去することが検証されたのです。
この研究から観葉植物には空気浄化作用があるという事実が広がり、国内でも現在研究が進んでいます。
こういった自然のシステムが人間や自然にとって良い環境を作ってくれることはとてもありがたいですね。
そういえば1982年のジブリ映画、風の谷のナウシカの原作では、まさに同じことが語られていましたね。
皆様もぜひ室内に植物がある暮らしを送ってみてはいかがでしょうか
伊藤 郁純